IRON MAIDEN「Aces High」を聴こう!

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アイアンメイデンといえばメタルバンドの王道を行くビッグネーム。そしてAces Highといえば代表曲の中でもアグレッシブかつキャッチーな一曲だ。
アイアンメイデンの5作目「Powerslave」収録。疾走感のあるタイプの曲としてはメイデン随一で有名。
「兄」最初の記事ということでメイデンで書いてみました!よろしくどうぞ。

IRON MAIDEN – Aces Highレビュー・感想

アイアンメイデンはメタルの王道?

アイアンメイデンはメタルの中でもいわゆる王道中の王道みたいな音でやっているバンド。ということになっているが、じゃあ王道の音とはなんぞや?というのは、あとから振り返って蓄積されたものがそうなった、ということだと思う。王道です!と始めたわけではない。

詳しく言いたい人からすれば「NWOBHM(ニューウェイブオブブリティッシュヘヴィメタル)という流れから出てきたバンドだ。」ということになる。
自分のゲームボーイばりの記憶容量に単純化された適当認識だと「NWOBHM=70年代以降パンクやニューウェーブを経過した後のハードロックバンド」である。

NWOBHMはハードロックを古いものと否定はしていない、が、当時の最新の音像やスタイルも無視はせずにむしろそのフィルタを通過させて表現したものだった、と個人的には思っている。

アイアンメイデンはイギリスはロンドンのバンドで、確かにパンクの影響を感じる…気がする。
自分はパンクをほぼ知らないが、メイデンの多くの楽曲に感じる衝動的で感情の高ぶりをたたきつけるようなテンションや、全パートが一体となって突き進むような突撃感、などなど。

Aces Highをメタル初心者が聴いた場合の印象

Aces Highもまさにそんな一曲である。
2000年ころに大学のバンドサークルの先輩に聴かせたら「現代の自分の耳で聴くとがっつりメタルというよりも、むしろハードロックの一曲という印象を受けた」という感想だった。

個人的にもこの感想はこころあたりのあるものだ。
2000年代にはスラッシュメタルやデスメタルの音像が世に出回ってひさしく、ヘヴィなロックがアメリカでも大量にメジャーシーンにあふれていた。
それはダウンチューニングのギターリフであったり、録音ミックス環境の向上だったりという影響もあるが、なにより楽曲の記憶が受け継がれてより先鋭化していったことでアレンジの型がブラッシュアップされたことにあると思う。

そういうわけで、90年代より前のロックバンドを初めて聴くと「なんだか想像していたよりも軽いな」と最初は受け取るが、だんだん聴いていくうちにその型に気づき「これだよ!これ!」という聴き方ができるようになる、というような経験の推移がありえる。自分もこれは体験している。

Aces High楽曲的特徴から受ける印象

Aces Highの話で言えば、速さとアグレッシブ感は2020年代の現代でもリアルに感じられると思う。
ギターアレンジで言えば、E standardレギュラーチューニングで単音のリフを軽快に弾くタイプの曲だ。白玉ロングトーンも多い。だからパワーコードや巻き弦でズグズグ刻みまくるようなメタル曲とはちょっと違う。特にかなり近い位置にいるスラッシュメタルとの違いはリフの刻み具合ではなかろうか?
ベース音が聴きとりやすい。ベースフレーズがギターと一緒に楽曲のメインフレーズになるようなアレンジで、口ずさめる。ベースフレーズが曲をぐいぐい引っ張っていく。
ボーカルは後のパワーメタルに繋がるような朗々としてレンジの広いパワフルな歌い方だ。
ドラムは最近のツインペダルorツーバスによるダブルビートで埋め尽くすタイプでは無い。
このニコ・マクブレインのドラム(シングルバスでツーバスみたいなキックを踏める人)は個人的に大好きで、特にスネアの音が好きなんだけどまだこの時代の録音とMIXではそこを完全にとらえ切ってはいないように感じる。どちらかといえば重さより軽快さを生かした音だ。

ということで、パッと聴くと門外漢からすれば「かっこいいけど今の俺がメタルを聴いてみたい!と思って求める過激さとは期待するものが違う」となるケースもあるかもしれない。

だが、これが意外とライブハウスで最初に聴いたりすると「こんなヘヴィでハードな曲だったのか!」となったりするのが不思議なもので、それは音源とライブでの違いが面白いところだ。
余談だが、メタルフェスなどで大会場で聴くとレギュラーチューニングでほどほどに隙間がある曲のほうがぼやけずにビートを感じられるせいかヘヴィに感じた経験がある。低音が高速で連続するような楽曲は、たぶんその合間に無音も連続で表現しないといけないのが難しいところなのだろう。

とかなんとか色々とヒントを与えてくれる曲でもある。

ブルース・ディッキンソンのシャウト

個人的にこの曲で好きな部分がラストにあるhihiAとも言われる高音のシャウトだ。
ボーカルのブルース・ディッキンソンの超人的な表現に度肝を抜かれた。
(この前にあるギターのエイドリアン・スミスのピッキングハーモニクス(たぶん。ピローーーンみたいな音の部分)も好きだ。)

「エイシェエーズ…ハアアーアーーーィ!」
の「アーーーィ!」が異常な高さだ。
これがやりたくてカラオケで過去幾度か挑戦しては撃沈した。
今の俺ならオクターブ下からはじめて裏声で出せるようになってから少しずつミックスボイス化…みたいにやるといけるはずだ(アホ)。たぶん。きっと。いつかアップします。

ところでライブでこの部分が決まったテイクは存在しないようだ。
さすがに無理があるアレンジだったのだろう。そんな「不可能技」的な面も含めて好きなパートである。

Aces Highとスティーブ・ハリスの意志

歌詞についてはWW2の戦闘機による有名な空戦をモチーフにしているとのことで、そう聞くともう曲の展開からギターフレーズまで空を飛び交うレシプロ機による息詰まる空中戦を表現しているようにしか聞こえなくなったし、パイロットの免許を持ちツアージャンボジェット機を自ら操縦してしまうブルース・ディッキンソンの顔が浮かぶ。
が、作詞はリーダーでベースのスティーブ・ハリスだ。あのバキンバキンにハイが鳴る指引きサウンドの彼こそは例のNWOBHMが象徴するヘヴィメタル精神の権化のような印象があり「髪を切ってパンクをやれと言われたが己のやりたいことをつらぬいたんだ~」系の「そういうお前の姿勢は逆にガチパンクっぽいな」エピソードそのままの熱い精神性がこの歌詞と曲のメタファーにも感じる。
この曲が収録されたPowerslaveあたりでアメリカ含む世界的に認められるバンドとなったこともあり、サバイバルして生き残り、自分の音楽で成功を勝ち取った印象が伝わる。

イントロのギターフレーズも最高

PVにあるように「ネバサレンダー!」の演説から→イントロという演出が熱くライブでもイントロまでは音源でやっていて、その直後からメンバーが実演奏でステージに飛び込んでくる。
このイントロのギターのフレーズがまたたまらない。
音が一拍ずれたかのような印象をうけるトリッキーなフレーズで、一気に曲へ意識がひきつけられる。そこからの一転ノリノリなツービートへの変化はまるで戦闘機発進のシークエンスのような印象ももった。

名曲「Aces High」をアルバムやライブで楽しもう

まずは収録アルバムの「Powerslave」を聴いてみよう。
なんと全8曲!一曲目「Aces High」からの2曲目「2 Minutes to Midnight」への流れも楽しい。

さすがに40年も経つとライブでの演奏速度は変わりますが、曲の良さは健在です。

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